2024年4月号

『いろんな意味を持つ言葉

「やばい」

この言葉が使われるシチュエーションはいくつもあります。

・「やばい!」、先生から返されたテストの点が悪くて…。

・「やばい!」、レジでお金を払おうと思ったら、カバンの中に財布が無い。

・「やばい!」、晴れていた天気が急変、傘持っていない。

・「やばい!」、去年はけたズボン、今年はけない。

ここまでの例文の「やばい」は、悪い意味で使われています。

反対にこんな感じにも使われますね。

・この肉、やばっ(=とても美味しい)

・昨日の大谷のホームラン、やばかった(=すごい!)

など。

この言葉は本来、マイナスの意味を持っていました。いくつか由来があるようですが、有力なのは犯罪者の間での専門用語として使われていたというもの。昔、牢屋は“厄場(やくば)”と呼ばれていました。良くないことをすれば牢屋に入れられてしまうのは、今も昔も変わりません。「やくば」→「やば」と変わっていって、犯罪者が捕まりそうになったときにこの「やば」という言葉が使われるようになったという説です。その他にも、江戸時代に射的場をあらわした“矢場(やば)”という言葉から来たという説もあります。矢場は治安が悪く近づくと良くないことが起きたことから、自分の身に災いが降りかかる際に使われていたとのこと。どちらにしても、語源としては良くない状況を指すものであったという共通点があります。                                 

 

「やばい」という言葉の意味の多様性が、NHKで放映されている『舟を編む』というドラマの中で取り上げられていました。『舟を編む』は辞書を編纂、発行するまでの過程を描いたもので、2011年に三浦しをん氏によって書かれた小説です。『本屋大賞』にも選ばれました。辞書って、みなさん使っていますか?何かを調べるとき、だいたい“google”か“yahoo”に頼ってしまいますよね。というか、辞書が家庭内に無いということも決して珍しいことではない気がします。『舟を編む』の中では、辞書製作に携わる人々の想い、熱意、こだわりというものにたくさん出会えます。言葉って実に奥深いものだと思わされます。これまでの辞書に対する印象が変わります。ドラマを見ていて、原書との違いは何だっけ?となり、以前に持っていた単行本はいずこに……な状態のため、早速アマゾンでポチっとしてしまいました。また違ったたくさんの「やばい」に出会えることでしょう。(奥松)


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