2022年8月号

☆グループ教室 学習塾“稲進会”の内容も含まれます。

『勝利至上主義どうする??③

 この話は、柔道の小学生全国大会が無くなるという話しから始まったものでした。所属する団体がどのようなものであれ、運営側と所属する側との見解の相違を無くすためには、団体のカラー(考え方指導方針など)を明確に打ち出すことが大切になると思います。

例えば、柔道場であれば

A道場>

・この道場は全国No.1を目指す柔道場です。勝つための稽古かしません。めちゃくちゃ厳しいです。

B道場>
・礼儀礼節を大事にします。柔道の強さより人間としての強さを育てます。

C道場>

・みんなで楽しくワイワイ柔道しよう!練習の後は毎回バーベキューをするよ。

こんな感じのことを掲げることで、習う側と教える側の食い違いもなくなるんじゃないかなと。何があろうと勝つことにこだわる人、そうでない人、それぞれの目的に合った形で柔道と関われるようになるでしょう。

 

とは言うものの現実は……、事前に思っていたのと違ったということも起きるものです。私の通った高校は、そうした意味ではひどかったんです。中学部もある学校に私は高校から入学しました。受験前の中3時に参加した学校の説明会では「燃える進学教育!」というキャッチコピーを掲げ、完全に大学進学を目標とした学校をアピールしていました。第一志望の学校に不合格になり不本意ながらもその高校に通うことになった私は、事前の説明会で聞いたとおりたくさん勉強させられるんだろうなぁと思いながら入学しました。可哀想だったのは、中学部から高校部へ上がってきた同級生たちでした。当時、その学校は特色のある学校を目指して運営方針を大きく変えた時期だったんです。3年前彼らが中学に入学したとき、学校が打ち出していたのは「ゆとりある生活の中で育む人間教育(!?)」みたいな感じのもので、大学受験での合格を目指す!とは真逆のものでした。「俺、勉強あまりしたくないからこの学校入ったんだけどね…」とぼやく中学部上がりの同級生からの声を耳にすることもありました。なんせ燃える進学教育!ですから。毎朝小テスト、勉強合宿、8時間授業なんてことも普通にありました。

 

人間が作る集団です。いくら考えや方針を事前に調べたとしても、実際その集団に属してみると思っていたのと違っていた、そうしたことは起こりうるものです。どんな集団に属したとしても順応し適応できる能力を持っているのが一番良いのかもしれませんが、それも簡単ではない気がします。思っていたのと違っていたから別の道へ、これもあってよいのだと思います。遠回りになったり、方向がずれたりするようなことがあったとしても社会の側が広く受け止める度量を持つ、そこから多様性のある社会が形成され広まっていくのだと思います。 (奥松)                                   



まなびの広場 HPへ↑(クリック)