2022年6月号

☆グループ教室 学習塾“稲進会”の内容も含まれます。

『勝利至上主義どうする??

 毎年夏に行われる“柔道全国小学生学年別大会個人戦”が今年から廃止となりました。大人(指導者・保護者)の過剰な勝利至上主義による弊害が子供の成長を阻害すると全日本柔道連盟が判断したとのことです。

 

このニュースを聞いたとき、2つの光景が頭に浮かんできました。

一つは高校時代の柔道大会(一応柔道経験者なんです)での出来事。ある強豪校の団体戦を観戦した後、会場の裏に行くと試合を終えたばかりの坊主頭(当然五厘がり)の身体の大きな選手たちが監督を囲むように正座をしている姿がありました。「柔道なめんとんのか!こんなんじゃ全国(大会)で勝てんだろ!」の声に続いてバチン!バチン!と選手の頬を平手打ちする音が。直前に行われた試合は強豪校の圧勝だったんです。団体戦5人の合計試合時間は1分ないほど、一人10秒もかからず最初にかけた技で“一本”を決めていきました。それでも全国での勝利を求める監督には納得の行かないところがあったんでしょうね。“強豪校って大変そう…”と思いながらそそくさと横を通り抜けました。

 

もう一つは、卓球を特集した番組です。日本選手が大舞台で活躍し、海外ではサッカーや野球などと同様に多額の報酬を手にできるスポーツという情報も広まり競技人口は増加し続けているようです。(うん?でも近隣中学の卓球部に入っている生徒が同学年の子が3名しかいないって言ってたなぁ。)人気も実力も上昇傾向の日本卓球界ですが、日本を代表する選手たちが幼かった頃に家や練習場で親やコーチから厳しい叱咤の声をかけられ、時に涙を浮かべながらボールを打ち返し続ける姿をテレビ画面で何度となく目にしてきました。

 

柔道、卓球、スポーツ全般に言えることですが、オリンピックレベルで活躍するためには長い期間鍛錬を積み身体に技術をしみ込ませる必要があります。あくまで予想になりますが日本柔道がオリンピックで苦戦したとき、今回の全柔連の決定により日本選手の実力が低下したと言われることになるでしょう。

 

だからといって勝利至上主義にこだわるべきとも思っていません。偏差値の高い学校、有名な学校の合格にこだわる!これも勝利至上主義の一つと言えます。多様化がさけばれる現在の価値観の中で、子供は、親は、指導者は、勝利至上主義とどのように付き合っていけばいいのか、私の思うところを次回ご紹介させていただきます。(奥松)



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