2019年7月号

『ほんの小さなことが……

(この文章を書いている時点では)雨ばかりの毎日で、なかなか夏が見えてきません。早くカラッと太陽が顔出さないかなと曇り空を眺めております。

 

 日々の予定をたてる時、目安とするのは天気予報。テレビの情報番組では、視聴率維持のために天気予報の枠ははずせないそうです。そんな天気予報ですが、皆さんどのくらい信頼しているでしょうか?結構な確率で外れることが多くないですか。インターネットで世界中の情報を瞬時に手に入れることが可能となり、コンピューターの能力もすさまじい進化をとげているのに、天気の予報位もう少し高い精度でできないの?なんて思ってしまいます。

 

 現実は……、できないようです(この先も)。「来週は晴れの日が多そうです」とか「今年の夏は冷夏になるかもしれません」と言ったレベルが限界のようです。なぜでしょう?

 

“北京で一匹の蝶(英語で『バタフライ』)が羽ばたけば、ニューヨークで暴風を引き起こす”

 

という言葉があります。

 これは『バタフライ効果』と呼ばれ、蝶のはばたきによって起きたわずかな風が大気の変化に影響して数日後か数週間後にニューヨークにまで届くことになる、ということでとるに足らない小さなことが予測不能の事態を引き起こすことの例とされています。ポイと投げ捨てたタバコが地球温暖化を加速させるかもしれません。今日あった身近な人との言い争いが国同士の戦争につながってしまうことになるかも、と言うことです。天気も地球単位で影響しあっています。日本から数百キロ離れた場所の雲の動きが数ミリコンピューターの予測とずれていただけで日本の天気に影響を及ぼすのです。

 

 こう考えると未来の予想なんて、まったく現実味がないように思えます。今日立てた予定通りに次の日を完璧に過ごすことなんてほぼできないですよね。それこそ朝起きたら昨晩の天気予報がはずれて雨模様、で予定変更なんて普通にあります(自分だけ(*_*;)。コンピューターがさらに発展し人間の行動を100%正確に予測できかつ地球を取り巻く環境についてもパーフェクトにならない限り正確な未来の予想は出来ないのです。人間の感情の複雑さや宇宙の広さを考えるとやっぱり完璧は無理そうです。

 

 バタフライ効果は人間生涯にも通じることだと思います。人は年齢を重ねるにつれて自分の可能性がだんだんと見えてきて、自分の生涯はこんな感じで終えていくのだろうと考えるようになります。でも実は『バタフライ効果』のように小さな変化が大きな変化につながることがたくさんあるのです。未来は予測できなくとも、未来を創るのは今の行動です。未来の自分を想像しながら、今何をしていこうか何をすべきなのか、雲の向こうにある太陽を待ちわびながら考えています。

 

 梅雨明けももうそろそろらしい(あまりあてにならない天気予報情報より(^_-)-☆)です。昨年のような40°越えはちょっと困りますが、キラキラと輝く太陽のもと皆様夏をお楽しみください。受験生は、勉強!勉強!の合い間にですね。

                                            奥松


  ☆視点を変えてみる勇気☆

 みなさんは『弱いロボット』というものを知っていますか?

 少し前の話になりますが、私はNHKの番組で紹介していたのを偶然目にする機会があってその存在を知りました。今のところ『弱いロボット』に具体的な利用目的はないそうです。なぜ従来の自己完結型の高性能ロボットとは異なり誰かの助けがなければ目的を達成することができないという実用性とかけ離れた他力本願なロボットが開発されることになったのでしょうか?

 

弱いロボットの生みの親である愛知県豊橋技術科学大学の岡田美智男教授によると第三者の手を借りるということを前提として開発されたロボットは他者とコミュニケーションをとることでひとつの社会を形成するという特徴を持っているといいます。

 

番組で紹介されていた中で私が一番気に入ったのは、ゴミを拾うという動作だけは自分で行うことができずに見つけたゴミの近くまで行ってはウロウロとアピールをするというゴミ箱型ロボットでした。通りかかった誰かがゴミを拾い入れてもらうとお辞儀をして感謝の意を表現するという可愛い機能がついていることによって、ゴミを探してでも入れてみたくなるという心理になるそうです。このように人の心に作用する『弱いロボット』は機能的には劣っているとしても人間味のある愛嬌という強みを身につけたと言えるのです。

 

岡田教授は「引き算の発想」に基づいて、切り捨てる機能と残すべき機能とを取捨選択することを思いついたといいます。つまりゴミを拾うためには相手が思わず手助けしたくなるような仕草を身につけていないと目的を達成させることはできないのです。

 

もともと岡田教授はロボット研究を専門としていたわけではなく人とのコミュニケーションについての研究をしていたそうです。そのため自分には最先端のロボットを作るような技術は備わっていないと笑っていました。それなら自分の得意分野を活かして人と助け合いながら共存していけるような社会性をもった『弱いロボット』を作ればいいのだという発想に至ったそうです。

この番組を見ていたら、新しいものを生み出すためには世間一般の常識とされるものにとらわれず自由な発想で取り組む勇気が必要だと感じてきます。これからいろいろな経験をしていく中で苦手なことや上手くいかないことにたくさん出会うと思いますが、そんな時はこの教授のように発想の転換をして弱点を強みに換えていけるたくましさを身につけてほしいなと思います(*^▽^)/

                           

                              インストラクター 清水倫子 


☆今月の作品紹介☆

“立体駐車場” “てるてる坊主☆首伸びます!☆” “三連扇風機”  “住みたいお家” “テニス練習マシーン”

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