2019年6月号

『財前派or里見派、それとも……

  “テレビ朝日開局50周年5夜連続ドラマスペシャル『白い巨塔』”、皆さんご覧になりましたか?原作山崎豊子氏のこのドラマは、何度もリメイクされ主演、田宮二郎版、唐沢寿明版が有名です。今回はV6の岡田准一が主演でした。放映後、ドラマの評価は賛否わかれたようでしたが、僕はなかなかの刺激を感じつつこの先どうなるのかとワクワクドキドキいっぱいで見ていました。山崎豊子氏の有名どころの作品(『沈まぬ太陽』・『不毛地帯』・『華麗なる一族』)は原作、ドラマ、映画など一通りは触れているのですが、この白い巨塔だけは、なぜかこれまで手にとることはありませんでした。ストーリーも知らない状態でしたので新鮮に楽しめました。岡田准一の熱演もなかなかのものでした。

 

ここからはネタバレの内容も含まれますのでハードディスクに残しておいたままでこれから録画を見るのを楽しみにしている方、特にストーリーをしらない状態の方はドラマを見た後にぜひお読みください。

 このドラマは、大学病院で医療の最前線に立つ2人の人物(財前五郎と里見修二)を中心に進んでいきます。対照的な生き方をする2人。ちなみに財前:岡田准一、里見:松山ケンイチが演じています。唐沢寿明版での里見は江口洋介です。

 

イチローは、白い巨塔(唐沢寿明版)を30回は見ているそうです。白い巨塔マニアのイチローは、財前派?それとも里見派?イチローをよく知る方ならご想像通りになるのでしょうが、“財前”が好きだとインタビューで答えていました。「彼の潔さ、もちろん嘘はつく時もあるけど、目的がはっきりしている」からと。財前の目標は白い巨塔(=浪速大学)のトップに上り詰めること、そのためなら手段を選ばない、周囲の人物を裏切ることもお金をばら撒くことも。一方、里見は正義感が強く、本当の医療のために大学病院のやり方にそして財前に対しても都度反抗し、後に大学を辞めさせられてしまいます。

 

今回の白い巨塔(岡田准一版)では、里見の考え方や生き方が正しいという方向性で描かれていたように僕には思えましたが、実は2人の行きつくところは似ているのではないかと思えます。里見も医療に対する自分の理想をとことん追求していきます。その過程では家族の願いにそむいたり、昔からの友人でもある財前を裏切ることもありました。ただ自分の理想を追い求めるその手段が財前とは違っていただけなのだと思います。

 

 時代はこれからさらに多様化のスピードが増していくことでしょう。人間の生き方もひとそれぞれ異なるのが当たり前になってくる、逆を言えば、こう生きれば幸せな人生が送れるという“ひな型”はなくなるとも言えます。どのような価値観でどのように生きるのか、大人自身ももちろん考えなければならないですし、子供たちにも考える必要性を伝えていかないと、と思っています。

 それにしても山崎豊子作品には“笑顔”が少ないというかほぼ無い。今回も岡田准一が部下に裁判で虚偽の答弁を促すシーンでの“気味悪い笑み”しか笑っている場面は記憶に残っていません”(-“”-)”

                                            奥松


  ☆創造の壁☆

 いよいよ、ジュニアクラスのゲームセンターイベントの季節がやってきました。今年のテーマはオリンピック競技です。サッカー、バスケットボール、射撃など、生徒によって選ぶ競技は様々です。そして、球を蹴る、投げる、撃つ、などの仕組みは、流石はお兄さんたち、以前のレッスンで学んだ仕組みを取り入れたり、見本となるおもちゃの仕組みを取り入れたりしていました。また、自分で考えた独自のルールを作ったり、見た目にこだわったり、今年のゲームセンターも大盛り上がり間違いなしです。

 

そんな中、ある生徒が、徒競走用の2足歩行ロボットを作るのだと意気込んでいました。その子に、2足歩行ロボットの作り方が載っている本を渡すと、「いや、自分で考える!」と、断言するのです。ああでもない、こうでもないと試行錯誤の連続です。流石に2足歩行は無理じゃないかなぁと、代替案を出そうかとも思いましたが、ふと以前読んだレゴ工学教育についての本に書いてあったことが頭に浮かび、そっと見守ることにしました。

 

その本には、「10個の創造性の壁」というのが出てきます。

 

1.唯一の正解を探す。2.過度に論理的に考える。3.ルールに従う。4.過度に実践的に考える。5.遊びは軽薄であると信じる。6.自分の専門領域に固執する。7.愚かに見えるのを恐れる。8.あいまいなことを避ける。9.間違いを犯すことは誤っていると信じる。10.自分は創造的でないと信じる。

 

まさに、大人の考えそのものです。私を含め大人はこの10項目のうち特に7,8,9,10当たりを、もっと子供から学ぶべきです。それが愚かな挑戦であり、間違いをして、失敗することは目に見えていても、まずは、壁を破って実践してみることです。不可能は無いと自分を信じることです。恥ずかしい失敗をしたとしても、その失敗から何か得ることがあります。

 

さて、私が今作っているレゴガチャガチャ装置の開発が、失敗続きです……。完成できないのではないかと、自信を無くしそうですが、いろいろと挑戦をしている子供たちをみていると、やる気がでてきました!壁を何枚でも打ち破る意気込みでがんばります! 

                           

                              インストラクター 伊勢豊 


☆今月の作品紹介☆

“巨大スライダー” “ボーリング場” “大ざる(孫悟空変身)”  “ヘリコプター” “カタツムリ”

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