2017年8月号

『夏休みの思い出☆』

 

 “夏は人を成長させる季節”

(アニメ監督 細田守氏が昔インタビューで語っていました。)

 

僕の人生においても大きく成長を感じることが出来た夏がいくつかあります。一つが浪人時代の夏。その夏をむかえる数ヶ月前、クラスで浪人が決まったのは2人。目を輝かせ新たな世界へ大きく前進していくクラスメイトを横目に僕らは冴えない表情で卒業式を終えました。

今も昔も変わらず“夏は受験の天王山!!”ということで、春から通い始めた大手予備校では5月には早くも夏期講習の申込み受付が始まります。予備校バブルの時代、人気講師の講座は、受付初日にあっという間に定員一杯(受付終了)になりました。さらに座席を確保出来たからと言って安心出来ません。都心にあった本部校舎(講習の時だけ行きました)の一番大きな教室は、確か500名くらい収容(数字の誤差はお許し下さいm(_ _)m)できるようなものでした。当然後方の席では、マイクで話す講師の姿と板書される文字を遥か彼方から眺めることになります。それなりの席に座るためには、授業開始よりかなり早めに教室に行かねばなりません(いつも最前列に座っている浪人生の猛者たちもいましたが、果たして彼らは合格したのだろうか?)。午前最初の授業を受講するために乗る電車はちょうど通勤ラッシュにぶつかりました。すし詰め状態の車内は、これ以上人を入れると車両が破裂!するのではと思えるくらいぎっしりの人・人・人で参考書なんて開けたもんではありません。そして、山手線で人生初の試練を味わうことになります。目的の駅に到着し、降りようとしても周りの人が動いてくれないのです。そこそこ体力に自信のあった僕は、目の前に立ちはだかるサラリーマンの背中をぐいっと押しますが、その先に立つ何人もの中年男を動かすまでの力は無く、数秒後降りる人のタイミングは終わり入れ替わりに何人かの人が乗ってきました。この時間帯の山手線では、

目的の駅で左右どちらのドアが開くかを事前に確認しておき、予めドアの近くに寄っておかないと降りられない(降ろしてくれない(-_-;))のです。その日授業開始間際に教室に入った僕は、後方から小さな講師と文字を見るために必死に目を細めていました。

情熱も時間も、全てを受験勉強に捧げた一年間。素晴らしい講師の方の授業は楽しかったのですが、一般的な“楽しさ”なんてものはこれっぽっちもありませんでした。それでも、死ぬ直前、人生のダイジェスト版が頭の中に走馬灯のように駆け巡るとするならば、きっとあの浪人時代の夏に出会える気がします。

楽しかったことも大切な思い出になると同時に、つらかったり、苦しかったり、悲しかったりするような経験もずっと忘れることが出来ない宝物になるのでしょう。

であるならば、勉強も、スポーツも、仕事も、遊びも、恋愛も……、何でもどんな結果になろうとも人生のかけがえのない思い出として残る可能性があり、だったらどれも自分の精一杯をぶつけたらいいんじゃない、そう思えてきます。

 

2017年の夏、皆さんにとって心に残るような思い出ができますように♪

奥松

   


  子どもから学ぶ

 

長い夏休みももうすぐおしまいですね。今年はどんな夏休みになりましたか?


 子どもと一緒にこれでもかと遊び倒した方、勉強もせずに遊んでばかりの我が子にヤキモキされた方…様々だと思います。

日本の教育はどうしても数字的な成績や発達を重視しがちで、親も他の子よりも一歩でも早く、一つでも多くと我が子に多くを望みがちです。先日ご逝去された世界的な児童精神科医・佐々木正美先生がご自身の著書の中で「子どもは子どもの要素を使い切ってからでしか、大人になってはいけない」と仰っています。目標に向けて頑張らせることも大切ですが、彼ら自身の成長を「待つ」こと、そしてなによりも感性豊かなこの時期に子どもとしての時間をたっぷりと持たせてあげることも人間としての成長に大切なことではないでしょうか。子育ての中心はあくまでも子ども。大人主導、大人中心にならないよう、注意していかないといけないなと自戒しています。佐々木先生はまたこんなことも仰っています。「親が子どもに何をすればいいか。それは子ども自身が教えてくれる」。私も日々、お教室の子どもたちからたくさんのことを学んで います。二学期もよろしくお願いします!


                                     インストラクター 赤﨑貴子

 


ハロークラス・ダクタクラス共同製作会作品

“巨大ブリッジ”と“巨大タワー” 

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