2016年9月号

『周囲のおかげ②』

 前回『周囲のおかげ①』では、周囲の人と役割分担をすることや個々の発想をいかすことで、人間はこの地球を支配する立場に君臨できているという内容でした。ライオンの話しのように、素手の人間は動物の中でもかなり弱い種に入ってきます。人に従順な動物として名高い『犬』にも人間が勝てるのか?結構怪しいです。チワワやトイプードルなら!?まあ勝てるでしょう(自慢にはならないですね)。中型犬あたりが本気で向かってきたら、かなりの苦戦も予想されます。警察犬だったら、マンガのように木にのぼって逃げる、なんてことしか出来なさそうです。

 

 昔々、小学校低学年だった頃、奥松家に一匹の犬がやってきました。そんなに大きくはない甲斐犬でした。かわいい顔をしていたのですが、この犬がどう猛で!凶暴で!大変でした。犬は、飼われている家庭の人間にヒエラルキーを作ります。家庭の中で、もっとも権力を持っているのは誰か?次は……?と順位づけして接してくるのです。これも犬の知恵ですよね。権力を持つ人間に可愛がられることが、生き抜くために必要だとわかっているのです。うちの犬も例に違わず、父親と一緒の時は、大人しくしているのですが、僕が一人で散歩に連れて行くと、これ幸いだワン!と暴れまくり、「行きたいところに行かせろ!」「まだ帰るには早い!」と自己主張をくり返し、それが叶わないと、噛み付いてくるのです。かわいそうな亮二少年(=僕)は、泣きながら必死にどこかの大木にリードを結び(その間も噛みつかれながら)、腕や足についた多くの傷と一緒にとぼとぼと家に帰りました。その後、家族が迎えに行くと大人しく連れられて帰ってくるんです、あいつめ!!

話しがだいぶそれた感がありますが、人間なんて個体で考えれば、たいしたことは無いのです。

 

「僕らは弱い存在である」

 

 この前提を意識する(できた)ことが、人類の今を築いたのです。一人ひとりは弱い。だからこそ個々の得意分野をいかす、十人いれば十人の得意分野をいかしていくことで、大きな強みへと変えていったのです。

 

 何度かこの通信の中でも触れたことのある心理学者アドラーは、人間が幸福だと思えるための3つの要素を挙げています。

◯自分が好きである

◯他人を信頼できる

◯誰かの役に立っている

 

 人は、弱い存在であるという視点で、この3つの項目の意味を考えると、なるほどと納得できる気がします。次回(このテーマでは最終回)にもう少し踏み込んでお伝え出来ればと思っています。                                                             

 

                                                            奥松

 

(特別企画)私の今

 

 

最近私がハマっているものがあります。それは骨格標本や解剖図を見ることです。以前から絵を描くことを趣味としているのですが、人物や動物を描く時、骨や筋肉を知ることはよりリアルな表現をするのに必要だと思うようになりました。かの天才ダビンチや私の尊敬するアメリカの画家ノーマン ロックウェルも解剖学を学び、ダビンチにいたっては、自ら解剖を行い、内面からも人体を理解することにより、より真実に近づけようとしていました。骨や筋肉の動きを考えながら人物を描いているため、どんな姿勢の作品にも、説得力があります。

 

  レゴで動物などを作る時、さすがに絵を描く時のように骨や筋肉を意識するのは難しいのですが、それでも背骨のカーブや関節のふくらみ、筋肉のもりあがりなどをちょっと意識すると、造形的クオリティを高められます。

 

解剖学、建築学、工学、いろいろな角度からものを見てみようとすることが、レゴ製作の世界を広げることにつながる、そう思っています。

 

インストラクター 宇賀神薫美

 

「空中を走る列車」・「椅子」・「飛行機」・「ピンボール」

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