2016年12月号

『時代遅れ』

 

11月の日曜日、2年ぶりに秩父宮競技場に行ってきました。秩父宮競技場と言えば、そうです大学ラグビー!の試合を観戦してきました。天気は快晴、少し冷たい風を感じつつも心地よい太陽の光がいっぱい、これ以上ない観戦日和の中熱戦を楽しみました。

 

昨年のワールドカップ、日本代表の活躍によりラグビーブーム到来とも言われましたが、サッカーや野球のようには行かず、一部の人気カードを除けば観客席にはちょっとマニア?な人(自分も?)がほとんどで、空席が目立つのも現状です。秩父宮競技場は、観客席からグラウンドが近く、選手の息遣い、サインを出す声、身体と身体がぶつかり合う音、選手と審判とのやりとり、などいろんなものがリアルに聞こえてきます。今回もグラウンドにかなり近い場所に陣取り、音だけでなく、泥だけの選手たちが必死にボールを追う姿に80分間釘付けになっていました。

 

ラグビーを観戦していて好きなシーンがあります。華麗なパスやトライ、地を這うような低い体勢でボールを奪い合うスクラム、突進を止めるタックル……、試合中に僕を魅了させるシーンはたくさんありますが、もっと好きな瞬間があります。それは試合が始まる前。始まる前?……、あるんです!試合前、選手がロッカールームから出てきてグラウンドに入場し校歌を歌う、そんな場面に感動します。ロッカールーム(※テレビ観戦でしかこの場面は見られません)で選手達は円陣を組み、主将を中心に最後の激を飛ばし合い、そして部歌をはりさけんばかりの大声で歌います。ロッカールームの扉が開かれると、数名の選手は涙を浮かべています。カチンカチンとスパイクが床を鳴らす音を残しグラウンドに出てきた選手は校歌を歌います。ここでも一度枯れた涙が再び頬を伝う、そんな姿を見ることができます。僕はそんな場面に感動し、あやうく自分の涙(T_T)がこぼれそうになります。

 

こうした選手たちの姿を“時代遅れ”と言う人もいるかもしれません。

 

確かにラグビーという競技も選手個々の動きをGPSで管理したり、ドローンを使いフォーメーションの確認をしたり、身体を作り上げるトレーニング方法も食事の摂り方も時代とともに変わっているようです。そうした進化の結集が昨年の日本代表の好成績にもつながったと言われています。大学ラグビーの中にもいろんな意味で改革が行われ、強豪と呼ばれる大学はプロに近い組織として鍛えられているようです。それでも、◯十年前、僕が学生の頃に感動した選手たちの姿は変わりません。あの頃も同じようにロッカールームの扉の向こうで大声を出し、涙をこぼしながらグラウンドに飛び出てきていました。

 

日常の生活においても、いろんなことが急速に変化しています。でも、人間ってそんなに短時間で変わらないんじゃない、特に本質的な面では、と僕は思っています。嬉しさや悲しさ、寂しさ、虚しさ……、人間の持つ感情は、インターネットやスマフォ、電子マネー、自動運転の時代になったとしても、根本は変わっていない!と僕は思っています。“時代遅れ”なことにもちゃんと感動できる、そんなことを確認しに競技場に行ったのかもしれません。

 

~目立たぬように、はしゃがぬように、似合わぬことは無理をせず、人の心をみつめつづける、時代遅れの男になりたい♪♪♪~ 『時代遅れ』(作詞 阿久悠)    

                                                             

                                                                                                                                                 教室責任者 奥松                 

 

    苦手を補うための工夫

 

私は絵を描くことが苦手です。子どもの頃から致命的に。もし好きな画家は?と聞かれれば迷わず

 

にパウル・クレーと答えられますし、美術館の独特な緊張感も嫌いではないのですが、自分で描くこ

 

とはとにかく苦手なのです。

 

 

うちの父は若い頃から絵が好きだったらしく、定年後にはボタニカルアートを好んで良く描いていました。それなのに私には絵心の欠片も遺伝しなかったという悲しい現実(_) 私の創作好きは父親ゆずりと言われ続けてきましたが、どうしても絵は苦手なんですよね。でもどうにかして創作活動に関わりたかったので、工作や手芸など興味をもったことには次々と挑戦して創作の幅を拡げることで乗り切ってきたんです。そうしてみると絵は描けなくても、出来ることはたくさんありました。

 

 

そして毎年この時期になると年賀状のデザインのことで頭を悩ませています。…というのも年賀状は印刷ではなく一枚一枚手作りするということにこだわりたいと思っているからです。そう思うようになったキッカケは、やっぱり絵を描くことがどうしても苦手だという悩みからでした。自分で描けないのなら出来ることを生かして組み合わせ、自分流を作り出していこうと。それは消しごむハンコだったり、ステンシルだったり、切り絵だったり……

 

 

 

そういえば今、新垣結衣さん主演の「逃げるは恥だが役に立つ」というドラマが放映されているのをご存知ですか? 星野源さんの歌に合わせて踊る“恋ダンス”が話題になっているあのドラマです。あのドラマのタイトルはハンガリー語の諺から来ていて、簡単に言うと「自分の得意分野で勝負せよ」という意味があるそうです。「逃げる」というのはちょっとネガティブなイメージがありますが、日本にも昔から「逃げるが勝ち」という言葉があり、それと同じような意味とも言えそうです。初めから諦めることを勧めている訳ではないけれど、戦うばかりが勝利への道ではなく、時には逃げる方が得策になるということのようです。

 

 

自分の不得手をどうやってカバーしていくか。それはたぶんこの先もずっと続いていく永遠の問題解決テーマと言えそうです。そのためには今後も日々の工夫を大切にいろいろ模索していく必要がありそうです。

 

 

 

みなさん、今年も大変お世話になりました。来年もよろしくお願い致します。

                                            

                                  インストラクター 清水 倫子

 

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