2016年10月号

『周囲のおかげ③』

  前回では、心理学者アドラーが唱える、人が幸福だと思える以下の三原則をご紹介して終わりました。

 ◯自分が好きである

 ◯他人を信頼できる

 ◯誰かの役に立っている

 人間の『三大本能』ってご存知ですか?

 これまでは、『食欲・性欲・睡眠欲』と言われてきましたが、最新の脳科学では、睡眠欲ではなく『集団欲』であるとの説が有力だそうです。三大本能に含まれるか否かの議論は別にしても、「どこかの集団に属していたい!」という欲求が人間の根源にあるのは確かなことと言えるでしょう。

 

 では、ただ所属していればいいのでしょうか?

 例えば、部活動では当たり前のようにこんなことが起こります。大会前に試合に出場できるレギュラーとそれ以外の選手の選別。高校野球などでは、ベンチには入れる選手(試合に出られる可能性がある)、ベンチにも入れない選手(試合に出られる可能性はゼロ)と言った違いもありますね。この選別が明確になった時、レギュラーに選ばれなかった選手、ベンチに入ることさえ出来ない選手にとって、深い意味での集団欲が問われます。万が一レギュラーがケガをした、不調に陥ったときのために、レギュラーでは無いけれども、試合当日までこれまで同様あるいはそれ以上に全力で練習に取り組み調整をすすめる選手。ベンチには入れないけれど、選手の体調管理やケア、相手チームの分析、必死の応援などチームのために自分ができることを最大限の気持ちで取り組んでいく選手。この人たちの集団欲は満たされていることでしょう。反対に、レギュラーでなければ意味は無い、この集団にいる価値は無いと思ってしまう人の集団欲がこの先満たされることは無いのでしょう。

 

このことは、部活動にかぎらず、日常生活のあらゆる場面でも言えることだと思います。家庭で、友人との関係で、学校で、会社で、地域のコミュニティーで……、「自分に出来ることは?」という発想で行動できる人は、どんな集団においても、自分を好きでいられ、周りの人を信頼でき、そして誰かの役に立っていると思うことができるのだと思います。

 

レギュラーになれる人、なれない人、最前線で活躍できる人、裏方においてこそ能力を発揮できる人、人と協力するのが得意な人、一人の方が自分の取り組みの集中できる人……、人間一人ひとりにその人の特性があります。誰かの何かの基準で特性の価値を判断するのではなく、その人だから出来ることを最大限認めあう、互いにそんな関係性を築くことが個々の幸せにつながっていくはずだと思っています。                                                             

                                                            奥松

 

 

読書の秋 

 

読書の秋ですね。皆さんはどんな本が好きですか?

私には十本の指では足りないくらいたくさんの「推し作家さん」がいるのですが、今特にハマっているのは文豪夏目漱石とシェイクスピアです。学生のころには気づかなかった描写や小ネタや伏線等、新たな発見があり、こんなに面白い作家さんはいないと再発見!文学的に面白いというのではなく(もちろんそれもあるのですが)、電車の中では読めない声をあげて笑いたくなる喜劇的面白さです。たとえそれが悲劇作品だったとしても。二人の作品の登場人物に共通するのはコミュニケーション能力の低さと先の読めない行動。「え!そうきちゃう?!」という展開や言動です。こういう方たちはともすると現実社会では排除されたり好奇や侮蔑の目で見られがちです。


漱石の個性をこよなく愛する門下生たちのように、あるいはシェイクスピア作品を愛する世界中のファンのように、自分を取り巻く人々の個性をリスペクトし楽しめる人たちが世の中に溢れたら、この世はもっと楽しく温かいものになるのになあと思います。ちなみに漱石は「草枕」で読書について、読みにくければ飛ばせばいい、開いたところをいい加減に読む、それが面白いのだと言ってくれています。


ありがたやありがたや~。

秋の夜長、食欲の秋と戦いつつ読書の秋を楽しもうと思います♪


インストラクター 赤﨑貴子

 

 

「お父さんへのプレゼント“パソコン”」・「“卵”→“さなぎ”→“成虫カブトムシ”」・「ワニ」・「城」

まなびの広場 HPへ↑(クリック)