2024年1月号

☆グループ教室 学習塾“稲進会”の内容も含まれます。

『ゆっくり、ゆったり

年明け早々大きな震災や事故などが続き、軽々におめでとうございます、とは言えない状況になっていますね。少しでも早く被災された皆様の日常が戻ることを願ってやみません。

 

“人生即努力、努力即幸福”

この言葉は、東大教授で日比谷公園や明治神宮など数々の有名な公園の設計を手掛けた本田静六氏のもの。

彼は、投資家としても有能でした。晩年手にした数百億の資産のほとんどは社会事業に寄付したそうです。

彼は、努力することは人の本能であると言っています。そして努力することで成長できたと感じられた時に人は幸せという感覚を持つことができると。

 

 何もしなくても100mを11秒で走れる人にとって11秒という数値は当たり前のもの、多くの練習を積み11秒で走れるようになった人にとってその記録はかけがえのないものになります。充実感、達成感といったものは、努力の先にあるのでしょう。努力ということを考えた時に、一番いいのは、努力そのものを楽しめること。各界で大きな業績を成し遂げた人の逸話には、常識では考えられないような努力を行っていたということがよくありますが、当の本人は特に努力とは感じていなくただ楽しんでいただけだったといったことが本当のところだったりもします。

 

 ただ“努力そのものを楽しめる”といった域に達するのは難しいことでもあります。仏教の用語に『精進』という言葉があります。血眼になって行う努力は、精進ではなく『執念』という言葉にあたるそうです。精進とは、ゆったりと着実な努力を続けることを意味します。“ゆっくり、ゆったり”この感覚は自分自身にとってもそして子どもたちと接する際にもとても大切なものだと思います。大人は人生を先に歩んできた分、この時点でこうしておかないと、といった観点から子どもたちを急いで導こうとしてしまいがちです。計算問題を一生懸命に取り組んでいる子どもに向かって「もっと速く、急いで!」と声をかけるよりも「ゆっくりでいいからね」と言ってあげた方が子どものモチベーションは高まる感じがしますよね(もちろん受験勉強で時間を意識すべきときもあります)。努力ということも同じで、何かに対しすでに努力している子どもに向かって、「もっと速く、もっとたくさん努力しなさい!」はなかなか酷なことです。それよりも「ゆっくり、自分のペースで努力していくのがいいんじゃない」はいい感じに受け取ってくれるはず。

 

2024年は、他人にそして自分自身に対しても「ゆっくり、ゆったり」をテーマに少しずつの成長を意識して過ごしていこうと思います。本年もよろしくお願いいたします。(奥松)


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