2023年9月号

☆グループ教室 学習塾“稲進会”の内容も含まれます。

『人に教える

ワシントン大学のジョン・ネストコ教授が行った、記憶力に関するある実験。映画『遥かなる戦場』のあらすじを50名ほどの大学生を2グループに分け話した。事前に半数の学生には「あとで、内容に関するテストをするから」と伝え、もう半数の学生には「あとで、他の人にあらすじを話してもらうから」と伝えた。その後、映画の内容に関するテストをすると後半の学生の方がきちんと記憶していたことが判明。

 

高校生2年生の時、数学が難しい(*_*;と感じるようになりました。通っていた高校のカリキュラムが、高校2年生のうちに高校数学を一通りすべて終わらせるとされていたこともあり、入学当初からかなりのテンポで授業は進んでいきました。高校1年生のうちは、なんとかついていけていたものの、微分積分に入ったタイミングあたりから「数学難しいなぁ、わからん」と。そんな時、いつも助けてくれたのが同じクラスのI君。休み時間、テスト直前…、いつ質問に行っても嫌な顔をすることなく丁寧に教えてくれました。彼とは、1年生の頃から同じクラスで、高校入学当初はそれほど学力の差が無かった(はず…)のが、2年生になり気づくと彼は全国模試で優秀者として冊子などに名前が掲載され、片や自分は赤点を免れることに必死!なレベルに、しかも彼が教えてくれていなければ、赤点は必至だったことも何度となく。当時を思い返すと、I君は誰が聞きに行ってもいつも自分の勉強をストップしてきちんと教えていた姿がありました。

 

それから長い年月が経ち、教育の現場で様々な生徒と接してきました。勉強ができる、成績が良い、ということに関してそうなる要素は多種あることでしょう。ただ、誰かから質問をされたときに、気前良く!教えてあげることができる、こうしたことができる生徒は必ずと言っていいほど成績も良いものです。昔の学園ドラマでは、いわゆる“がり勉”タイプの生徒がクラスに一人はいて、クラスの他の生徒とからむこともなく、“僕の勉強の邪魔をしないでくれたまえ!”といったオーラを発揮し一人机に向かっているといった感じ、で、なかなか成績が伸びず悩み、クラスにひと騒動起こすみたいな展開に。

 

I君に限らず、人に教えることを厭わない人は、持っている知識を他人に伝えることで自分の知識も整理され質も高まることを無意識の中にも感じ取っているのではないかと思います。そしてAIの進化により、今後知識のみを手に入れることは容易なものとなるでしょう。その分、持っている知識を自分の言葉で伝える能力といったものがより要求されるようになるのではないかと思います。(奥松)


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