2023年6月号

☆グループ教室 学習塾“稲進会”の内容も含まれます。

『何の意味があるのか?

TJAR(トランスジャパンアルプスレース)というレース、ご存知ですか?

 テレビでレースの様子を放映しているものの、なかなかマニアックなレースなのでご存知の方は少ないかと。

 

息を飲むような雄大な眺め、漆黒の闇に浮かぶ仲間の灯、

烈風に晒され追いつめられる自分、悲鳴をあげる身体、

絶望的な距離感、何度も折れそうになる自分の心、

目指すのはあの雲の彼方。

日本海/富山湾から太平洋/駿河湾までその距離およそ415Km

北アルプスから中央アルプス、そして南アルプスを、

自身の足のみで8日間以内に踏破する

Trans Japan Alps Race

日本の大きさを感じ、アルプスの高さを感じ、自分の可能性を感じよう。(TJARホームページより)

 

英語表記は、Trans Japan Alps Raceとなります。“trans”とは「横切って」とか「越えて」と言った意味、つまり日本アルプスを横断するというレース。日本アルプスとは、地理でも勉強しますね、北アルプス(飛騨山脈)、南アルプス(赤石山脈)、中央アルプス(木曽山脈)の総称のこと。この日本アルプスを横断する、全415km、しかもほぼ他人のサポートを受けずに、というすごいというかなんというか、かなり異色の(異常な?)レースです。

 

2022年の夏に行われたレースの様子が放映されていて、副題が“挑戦の意味”というものでした。この“挑戦の意味”という言葉に大きく感じるところがあったんです。レースを紹介する番組ですので、多くはトップの選手それから実績のある選手の様子がほとんどです。ただ、所々で順位などに関係なく、一人ひとり様々な意味を込めて完走を目指す選手たちの姿が紹介されます。ある50代半ばの選手が、「このレースへの挑戦することの意味」について考えている様子がありました。その選手が言うには、レースに参加し、これだけ過酷な挑戦をしているのは、“まずは自己満足のため”と。まぁ、たしかにそうですよね。これだけの大きな挑戦ですから、生活のいろんな部分を犠牲として準備をしてきたことでしょう。しかも、プロ選手ではありませんのでスポンサーが付くわけでもなく、レースで優勝しようが完走しようが賞金なんてものはありません。何かに挑戦するとき、その意味なんて自己満足で充分だとも思うんです。なんせ自分の人生ですからね、自分が満足することが大切なのは言うまでもないことです。ただ、この選手は昼も夜もない451kmの長い道のりを進んでいく間考え続けます。“自己満足以外に自分が挑戦する意味は無いのか?あるならばどんな意味があるのだろう?”と。そして、ゴールが見えて来た頃に、挑戦の意味を見つけたそうです。

 

それは“挑戦は連鎖する”

 

 

 いかがですか?この言葉しびれませんか?誰かが挑戦する姿は、他の人の挑戦に連鎖していく。人類の進化は、まさにこの挑戦の連鎖によるものだと、この言葉を聞いて頭に浮かびました。(次号に続く)(奥松)


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