2023年12月号

☆グループ教室 学習塾“稲進会”の内容も含まれます。

『厳しくしてくれる人は?

ドジャースへの移籍が決まった大谷翔平選手、1,000億を超えるという移籍金、まさにビッグマネーが動いたようですね。そんな大谷選手の祖父はとても厳格な方で“自慢することは恥”だと大谷選手に語っていたようです。各界のビッグネームの周囲には厳しい人の存在があるという記事を目にしました。スピード離婚で世間を賑わせたスピードスケートの羽生選手の祖母は、ネット上で孫が叩かれていることを知り、こんなふうに言ったそうです。“人間的にはまだまだ幼い、大目に見ないで、叩くところは叩いてください。そうすると本人も大人になりますから”(うわっ、厳しい)。将棋の藤井聡太八冠も祖父母に常々“勝っておごるな、負けて腐るな”と言われていたそうです。

 

子どもに厳しくすること、現代では実の親も含めいろいろ難しい世の中です。野球界のレジェンド、イチローが北海道の高校野球の選手に語っていた言葉が印象に残っています。“今の時代、指導する側が厳しくできなくなって…”、と学生野球を取り巻く指導の環境について触れたときのこと。“自分たちで厳しくするしかないんですよ。ある時代まではね、遊んでいても勝手に監督・コーチが厳しいから全然できないやつがあるところまでは上がってこられた。やんなきゃしょうがなくなるからね。でも、今は全然できない子は上げてもらえないから。上がってこられなくなっちゃう”と。

 

大人が子どもに何かを伝えようとするとき、基本的にはその子に良くなって欲しい、良い方向に進んで欲しいと願って行うものです(※100%そうであるとは言い切れない面もありますが)。小学生の頃、地域の野球チームに所属していました。そこでは監督やコーチをしてくれる大人がいました。今思い返せば、結構厳しい指導もあったなと、ケツバット、げんこつ、罰走など…。腹筋や腕立て伏せなんかも結構やらされて、練習明けにはチームメイト同士で筋肉痛自慢を行っていました。当時の練習のおかげなのか、その後基本的な体力は人並み以上にありましたし、今でもバッティングセンターに行けばそこそこ打てます。当時、やらされる感いっぱいで行っていた練習も、時に受けた厳しい指導もそれほど苦ではなかったように記憶していますし、ほど良い緊張感の中で野球に取り組めたことは良い思い出になっています。それに監督やコーチはボランティアだったんですよね。休みの日朝早くからグラウンドに出て子どもたちの指導、けっして簡単なことではありません。指導する大人の側に子どもたちに上手になって欲しいと言う情熱や熱意があったからこそ、良い思い出として振り返ることが出来るのだと思います、ありがとうございました。

 

これからを生きる子どもたちは、イチローの言う通り「自分たちで自分に厳しくすること」が要求されます。自立し、自律して自分を磨いていく、なかなか簡単なことではありません。教室での様々な取り組みがそうした力を育むことに少しでもつながることを願っております。(奥松)


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