2020年7月号
『3か月間の休校を経て』
コロナ感染だけでなく九州地方を中心とした豪雨被害。子供の頃には考えたことのない「もしかしたらこの世は終わってしまうのかも……」なんてことを本気で感じてしまうことも増えてきました。歴史の勉強を生徒と一緒に進めていると、およそ80年前には空から爆弾が降り注いでいたり、260年続いた江戸時代では生まれた時から身分がきちんと決められていたり、そんなことが教科書には書かれています。ここ数十年の期間そうであった自由になんにでも挑戦でき頑張ればいろんなものを手に入れることができる、そんな時代は日本の歴史上非常にまれな時間であることに気づきます。この期間求められたのは“スピード”で子供たちには、早くたくさんの知識を入れ、早く様々な経験をさせ、早く自分の可能性を選択させ、早めに人生設計させ…、と数多くの早くを求めてきました。大人社会も同じで、考えるより行動しろ、新しい業界は先に手をつけたものが勝つ、など成功の秘訣は早さにあると私自身ある時期読みふけった多くのビジネス書に書かれていました。そんな価値観が少なからず植え付けられている大人が、3か月間の活動を止められてしまった子供たちを見ていて心配をするのはしょうがないことと言えます。
今回のコロナ感染のことで私が強く感じたことは、頑張っていること努力していることが誰のせいでもないことでストップさせられる、そうしたことがこの先増えていくだろうということです。東京オリンピックが延期されたことで引退を決めたスポーツ選手がいました。かねてからの夢であった小さな自分の店の事業継続が難しく閉店したというようなニュースをたくさん目にします。オリンピックに出るためにどれだけの時間を練習に費やしたことでしょう、お店を持つためにもしかしたら多くの借金をして資金を用意したかもしれません。日本に限らず地球上のあらゆる人が、いつ夢描いたものが突然寸断されるような事態に出会ってもおかしくはないのです。
先をみれば心配が尽きない世の中で必要とされるのはこれまでのような早さを根底とした成長ではなく、アメーバーのごとくゆっくりゆっくりと、たとえ理不尽に思えるような壁にぶつかってもすき間を探し動き続けていくそんな成長かなと思います。3か月間の休みで学ぶべきことが抜けてしまったことを心配される声もありますが、学習指導要領にしても決して絶対的なものではなく時代が違えば内容も異なるものでもありました。「ゆとり教育」では約30%学習内容が削られました。以前、私立のいくつかの進学校では受験に必要とされない科目を履修させていないことが判明し問題になったりもしています。
もしお子さんが学校の勉強がわからなくなってしまっているようであれば、あせらず少しずつでも勉強し続けることの大切さを伝えてあげてください。勉強する習慣がすっかり消えてしまった状況であれば、一日10分間の勉強の価値を伝えてあげてください。ゆっくりでも少しずつでも学び続ける気持ちを持ち続けることが、これからの世の中でより人生を充実させていくことそしていろんな困難を乗り越える力を育むことにつながると思います。ゆっくり、少しずつ、そんな気持ちを大人が持つことで子供たちのあせりも消えていくことでしょう。
※それでも『受験』が気になるという方もいらっしゃるかと。次回はそのあたりに触れたいと思います。 奥松
☆人工知能(AI)の進化☆
今日、人工知能(AI)のニュースを目にすることが多くなりました。インターネット検索、音声アシスタント、学習塾タブレット教材、掃除機、車など、私たちの身近なものにAIは既に実用化されています。話題のスーパーコンピューター『富岳』も、AIを使って新型コロナの治療薬開発を進めています。
そんな中で、私がAIと聞いて、真っ先に思い浮かぶのがテレビゲームです。しかし、ゲームのAIといえば、同じことを繰り返すだけの出来損ないのロボットみたいな『振る舞い』しかしません。最新のゲームでも、AIはさほど進化しているようには思えないところもあります。
私は、RPGゲームをたまにやるのですが、そこには必ずAIがいます。とりわけ、『ファイナルファンタジー15(FF15)』を最初にプレイした時の衝撃は忘れられません。それは、フィールド上を『歩く』時でした。この時、自分が動かすプレイヤー以外に仲間AIが3人います。普通、フィールド上をプレイヤーが歩く場合、
仲間AIはプレイヤーの後ろを付いて来るものです。ところが、仲間AIはプレイヤーより前を進んでいることが多々あるのです。目的地はプレイヤーを自由に動かす自分しか知らないのになぜ!?しかも、自由度が高いゲームなので途中で目的地を変えることだってあるのに…。
あたかも、現実世界で、友達グループが目的地も決めずにおしゃべりしながら歩いているみたいに、各々がたまに他の人の行動を予測して、バラバラな方向を向かずにグループがまとまってまっすぐ行ったり道を曲がったりしているのです。AIにおいて、この自然な『振る舞い』は簡単なようで難しい問題です。
レゴ教室では、プログラミングにも携わっている身として、FF15にはいろいろ研究材料が詰まっていて、ゲームを遊ぶのとは違う面で面白さがあります。どういう仕組みなのか知りたくてFF15の人工知能という専門書も買ってしまいました。いつかプログラミングのレッスンの時に役に立つか時がくるかもしれません(笑) (インストラクター 伊勢豊)
“七夕の短冊・カエルたち・カキ氷機・羽の生えた珍獣”
まなびの広場 HPへ↑(クリック)